[talk room - vol.1]オレフィーチェ中村誠社長「良いダイヤモンドジュエリーの見抜き方」[後編]
ジュエリー初心者のスタッフが社長に初インタビュー!! [後編]
オレフィーチェ代表 中村誠社長インタビュー後編です。前編をご覧になっていない方は是非ご一読ください↓
[talk room – vol.1]オレフィーチェ中村誠社長「良いダイヤモンドジュエリーの見抜き方」[前編]
気になる「人工ダイヤ」について。
S:ひとつ、疑問だったことがあって.. せっかくの機会なので教えてください。最近「合成ダイヤモンド」のニュースを散見するのですが、社長はどうお考えなのか伺ってもよろしいですか。
中村社長:OK!ちょっと待ってね。
S:(お?どこ...行くん…?..戻ってきた…!?..な...なあに...コレ...?)
中村社長:ダイヤモンドってね、これなんですよ。(組成図模型を手に取りながら)
S:と..と..と..言いますと...?(うーん...この構造ジュエリーコーディネータ3級の本で見た気がするけど(勉強中)なんだっけ?(汗))
中村社長:ダイヤモンドはね、炭素がこういう形で組み合わさった物質なんですよ。僕は理系なのでダイヤモンドを扱うことになった時に、とことんダイヤについて調べて、ダイヤモンドがなぜ希少なのか、なぜ 硬いのか、品質にムラがあるのは何故なのか、いろんな文献を読みました。
S:そうだったんですね!(社長...心なしか楽しそうです..)
中村社長:このような完璧な構造のダイヤはすごく輝きます。いわゆる合成ダイヤはこれ(完璧な構造)に近いんです。
合成ダイヤも天然ダイヤも、結晶の構造が欠けた状態で結晶が積み重なっていくと蛍光性のあるダイヤになることがあります。完璧な状態だと光らないんですが、完璧じゃないダイヤだと紫外線を浴びて光るんです。
またこの炭素の原子が手を上手く繋げなくて、代わりに窒素の含有量が多かったり、ホウ素が混じったりするとするとカラーダイヤになることがあるんです。
S:カラーダイヤ.. 素敵な響きです...
中村社長:完璧なダイヤは地球上に存在しなくて、逆に完璧じゃないところ、個性があることがダイヤの魅力なのではないかなと思うんです。
合成ダイヤモンドも個性は多少あると思うんですが、やっぱり天然ダイヤは個性豊かに感じます。
合成ダイヤは、いくつかの手法で製造されています。
例えば、薄〜いダイヤの一層を作って、その上に一層一層ミルフィールのように重ねて作って、2週間くらいかけて完成したものをカットする方法があります。以前は天然ダイヤを薄くスライスしたものを基盤にして、そこから成長させていくみたいな方法もありました。
あとはHTHP法という、炭素にぎゅ~~~~って高温・高圧をかけてダイヤを作る方法もあります。地中深くで自然がやっていることを人力で作る方法ですね。
合成ダイヤを作る工程で、かなりの電力を消費しているのに「合成ダイヤはエシカルで、天然ダイヤはエシカルではない」と思わせる記事がありますが、本質的に考えると私はそうでもないのではと思っています。
天然のダイヤは掘り出すことにエネルギーは使っていますが、ダイヤ自体は自然がつくりだしたものなので、作るのに人工的なエネルギーは使っていません。
昔は紛争ダイヤの問題が.... 紛争ダイヤってご存知です?
S:紛争ダイヤ…?........分りません!(無知ですみませぬ..
中村社長:以前はダイヤに纏わる問題が多かったんです。
紛争ダイヤは血塗られたダイヤモンドとも呼ばれるのですが、ダイヤは国際市場で高値の取引が行われるため、産出国が紛争地域だった場合、戦争の資金源になってしまい長期、深刻化してしまう問題のことです。ダイヤを掘り起こすのに子供や罪のない人々を採掘に苦役させる人道的な問題も含まれています。
『ブラッドダイヤモンド』という映画を観ると分りやすいと思います。
S:それほどに、天然ダイヤは価値が高いってことなんですね...
中村社長:その後、ダイヤモンドの国際取引のルールが決められました。キンバリー・プロセスという制度が出来て(参入国がダイヤモンド原石を取引する際、原産地証明書の添付を義務付ける制度)それに法って私たちはダイヤを仕入れているので、そのために誰かの命が削られるなどは無いと思っています。
S:合成ダイヤが話題になって「人や地球のため」と何となく感じさせるじゃないですか。本当に天然ダイヤを掘り起こすことは何かマイナスになっていることがあるのかなって疑問だったんです...。児童労働の映画を見たことがあるので、ダイヤのためにそのようなことがあったら胸が苦しいです。それを聞いてすごいホッとしました。胸張って着けられます。
中村社長:元から地球にあるものであること、自然と共存している人間という動物が、その輝きを楽しんでいるという風に考えています。
「輝き」だけに価値を求めるのであれば天然も合成も同じだとは思います。
後はその背景のストーリー、10万年かけて自然が作ったものと、2週間かけて人が作ったものというところになってくるかなと。
もちろん2週間かけて作るのもすごいし、それにロマンを感じなくも無いですが、私は天然ダイヤが好きです。
S:確かに... 私もやっぱりそうかもしれません。
中村社長:どこに価値をおくかというのは人それぞれですので、お好みで天然・合成を楽しんでいただけたらと思います。
価格的には合成の方がお手頃ですし、インクルージョン(内包物)が無い美しさがあります。
逆に、ある意味インクルージョンは天然の証なんです。
そういえば、昔、中に液体が入ったダイヤがニュースになったこともありました。ダイヤは地中深いマグマの中で出来るのに、どうして中に液体が入っているんだろうという...すごい謎です。入っているのは液体は一体なんなのか...ロマンですよね。天然ダイヤはそれぞれのロマン、オンリーワンの価値を感じます。
鑑定書っていったいなんですか?
S:そもそも論で恐縮なんですが... 鑑定書ってなんなんですか?そんなに大事なんですか?(無礼)
中村社長:前段で色々お話ししましたが...結局はちゃんとした鑑定書付きが一番安心だと思います。鑑定書がない場合など今日お話しした内容がとっても役に立つと思います。
S:なるほど...ん?「ちゃんとした鑑定書」とは.. ちゃんとしてない鑑定書ってどういうことですか?
中村社長:鑑定書・鑑別書を発行している団体は沢山あるんですよ。「私はGIAで研修を受けた鑑定士で、GIA基準でグレーディング(鑑定)してます」と名乗って、○○研究所っていう名前をつけたら誰でも鑑定書は発行出来ます。
実はそれが本当に信頼出来るものかは不透明で、信頼出来る鑑定書を発行する団体は、GIAや、国内でいったら中央宝石研究所です。それ以外の鑑定書に関しては、業者間ではあまり信用されていないのが現状です。
GIAでは機械で鑑定した後、必ず2人の鑑定士が10倍ルーペで鑑定するんです。また誰が依頼者か分からない状態で鑑定するので公平にグレーディング(鑑定)出来るんです。なので、お得意様への忖度で基準を甘くしてしまうこともありません。
グレーダー(鑑定士)が一人だったり、依頼主がわかった上で鑑定すると、個人差や公平さに欠けてしまう可能性があります。
それに実はダイヤモンドの鑑定方法って最終的には主観なんですよ。
S:えっそうなんですか?!「主観」ってすごく曖昧なイメージです。
中村社長:私は1週間ひたすら鑑定をするグレーディングのトレーニングを受けたんです。そこではダイヤの1個1個を見て「ココに傷がある」「ここに内包物がある」など表面に達しているのは赤で書いて、中にあるのは緑で書くなど調べて...、そして最終的に「これはVSだ、SIだ」と決めるのは主観でした。
でも主観というと偏ってしまうのではと思われそうですが、GIAはその判断の感覚を揃える取り組みを行っているんです。厳しい鑑定ルールがGIAの強さだと思います。
またそういうスキルは本当にかなりの数をこなさないと身につかないんですけど、今オレフィーチェで石出しをしてくれている工房のスタッフは、毎日大量のダイヤを見ているので、感覚がすごく揃っている。そこがオレフィーチェの強みでダイヤモンドの質がいい理由だと思います。
S:オレフィーチェの工房さんにはGG資格者3名いて、しかも、毎日実績を重ねているってことは凄いことなんですね...!! オレフィーチェのダイヤが美しい理由が理解出来ました..!!
中村社長:そうなんです。資格だけ持っていても毎日見ていないと基準が曖昧になります。例えば悪い石といい石を2つ並べて見比べれば誰でもこっちがいいって分かるんですが、オレフィーチェの工房では、この実績を重ねているから同じレベルの石の中でテーブルの面を揃えたり、小さな差に気が付きやすい、気が付くことが出来るんです。(前編「複数のダイヤが並ぶデザインの見方」参照)
S:なるほど...もうオレフィーチェだったら質の良さは絶対保証されますね。
今回のお話で合成ダイヤと天然ダイヤの違いやそれぞれの魅力、そしてオレフィーチェのダイヤの美しさの理由が明確に理解出来ました。
貴重なお話ありがとうございました!
いかがだったでしょうか。初のオレフィーチェ社長のインタビュー。ワタクシ、入社一年目にして、ぼやんとしていた鑑定書の価値や、オレフィーチェのダイヤが美しい理由が初めて理解できました!
毎日、商品を見ては「はあ〜... なぜにこんなにキラキラピカピカ...可愛いし美しいし..」と思っていましたが、今後はもっと思慮深くオレフィーチェのアイテム達を見られそうです(`・ω・́)ゝ
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