季節とジュエリーとわたし　

雨の日とジュエリーとわたし

目を覚ますとなんだかいつもよりも暗い。
もしかして、とカーテンを開けると、やっぱり雨。

今日は夫と二人で出かける予定なのに、雨。
雨が降ると心も沈むし、なんだか頭も重く感じる。

「まあまあ。とりあえず、朝ごはん食べようよ。」
一緒に準備した朝ごはんをゆっくり食べて、コーヒーを味わいながら飲む。

最近お互い忙しくて、一緒に過ごす時間が少なかったから、今日はたくさん話をしたいな。

こないだ見たテレビ番組の話、近所のワンちゃんが可愛い話に、駅前に新しくパン屋さんができたこと。

他愛のないおしゃべりと、外から聞こえる雨音が心地よくて、なんだかゆったりとした、ちょうどいい時間が流れているような気がする。

だんだん気分も上がってきて、今日は何着ていこう、雨だから髪はすっきりまとめて…なんて
いつの間にかわくわくして準備をしている私。

ネイビーブルーのワンピースに着替えながら、なにか物足りない…。暗いかしら…と悩みながらふとドレッサーを見ると、この間の私の誕生日に夫から「誕生石でしょ？」ともらったネックレスが目に入った。

まるで海のように、澄み切った水色のアクアマリン。雫型のカットはうるうるしていて、本物のしずくみたい。

胸元にあててみると、カチッとピースが嵌まるような感じがして、今日のわたしが一気に好きになった。

うん。今日はこれにしよう。

仕上げに、最近買ったお気に入りの傘を持って、さあ、一緒に出かけよう。

雨は苦手だったはずなのに、悪くないかもなんて思っている私にちょっとびっくり。

「そういえば」
なに？忘れ物かしら。それとも――――

「今日も君は素敵だね。」
「それ、すごく似合ってるよ。君に。」

…普段は聞いても全然言わないのに。何で急に言うの。