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INTERVIEW
OREFICE × SEIBIDO

今回オレフィーチェで真珠を学ぶにあたり、
清美堂真珠の三代目である磯和社長にインタビューをし、
たくさんのお話を伺いました。
心に残ったエピソードをご紹介します。

「パールに対する興味を寛容に受け止めてくれたから」

ーー社長の真珠に対する想いとは、どこから芽生えた感情なのでしょうか?

実家が典型的な家内制手工業だったため、幼いころから“真珠”は身近な存在でした。
ことあるごとに2つの真珠を見比べ、どっちがきれいか考えるなど、見極める目、能力を養ってきました。いわゆるネイティブですね。そして幼いころから叩き込まれてきたのは「真珠に対する敬意を表す」ということ。
時には厳しい指導もありましたが、真珠を好きで居続けることができたのは、「真珠に対する興味」に関してはとても寛容な環境であったからです。例えば真珠をコーラにつけたらどうなるのか、とか、どれくらいの力を加えれば割れるのか、とか。
そういう【興味】を叱らず、のびのびとさせてくれたおかげで今も真珠が好きでいられているんだと思います。

「ドバイの超高層ビルよりも、同じ高さの六甲山のように
土台がしっかりしている方が安心感がある」

ーー真珠検定の面接官などもされていると伺いましたが、何か専門的な勉強もしたのでしょうか?

高校までは物理、化学を学んでいましたね。小さい頃から真珠で遊ばせてもらっていたおかげで、僕は化学の成績はいつもトップでした。
実際に仕事を始めてから必要に迫られて知識だけ掘り下げたというのではなく、僕の場合は幼少期から培ってきた裏付けとなる学問的な知識が圧倒的に違うと思う。ドバイの超高層ビルよりも、同じ高さの六甲山のように土台がしっかりした山の方が安定感が全然違いますよね。土台となる部分がなければ、少し違った角度から質問されたら不安定になって説得力がなくなってしまう。僕の場合は土台があるので大体の角度の質問には答えることができる安心感がある。例えば「沸騰したお湯に真珠を入れたらどうなりますか?」「何も起きないよ」なぜか?まぁやったことがあるから(笑) そしてその変化がなぜ起きるか、知っているだけでなく化学的な変化も含めて推測ができるところに安定した説明力があるのではと思っていますし、真珠を学ぼうとしている人達に教えることを任されることが多いのはそのあたりの差が出ているのではないかと思いますね。

「なぜ仕事をしているかというと、
美しい真珠を知ってもらうことが第一」

ーー1936年創業と長い歴史をお持ちですが、続けていく為に必要なことは何ですか?

真珠を儲けの道具にしないということですね。自分たちがなぜ仕事をしているかというと、美しい真珠を知ってもらうことが第一であって、企業である以上利益は出していかないといけないんですが、長く残っていくために何が必要かというと、私が考えるのは正しい姿を実行することだと思うので。それは商品でなく真珠として取り扱うことが一番重要ということです。

「真珠は口をきいてくれないので
自分たちが見出したものがその真珠の物語」

ーー真珠の物語を大事にされているわけとは?

真珠は鉱物と違って生命体が作り上げている数少ない宝石です。鉱物は何百年、何千年、もしくはもっと前から存在しているのに対して、2年後に手にする真珠はまだ存在しない、今取り出した真珠は少なくとも3年前には存在していないんです。そういう場合、必ず物語が見えるんです。真珠にはたくさんの人がかかわっていて、その人たちの人間性や、人生のイベントまでもが真珠の出来に影響されるんですよ。例えば孫が産まれた記念に大きな核を入れてみるとか。いい事も悪い事も真珠には物語が付随していくわけです。
物語っていうのは真珠そのものが確かに持っているはずなんですが、真珠さんは残念ながら口をきいてくれないので、自分たちで見出したものこそがその真珠の物語になっていく。なので清美堂真珠のキャッチコピーのあなたの真珠には物語がありますか?というのは、見た人が真珠の物語を紡いで欲しいという願いが込められていて、それは私にも言えること。

ーー本日着けてらっしゃる真珠にも特別な物語はあるのでしょうか?

そうですね。この白い方は祖父の代からの真珠です。1950年の真珠で、もう60年以上経ったものです。アコヤ真珠は必ず加工処理をするのですが、これはしてない。本当に綺麗な真珠は何もしなくてもずっと綺麗なんです。黒蝶は1999年のものです。本当はもっと古いものもあったんですが、酔って落としてしまいまして・・。タヒチに行って初めて買い付けた真珠だったので、二度と貴重なものは着けまいと心に決めました。今日だから着けてるんです。このアコヤは売れと言われても絶対手放さないです。

磯和 晃至 Koji Isowa
株式会社清美堂真珠 代表取締役

日本真珠輸出組合 理事
タヒチパールプロモーション 理事


1936年創業の真珠会社の3世代目として育つ。外資の経営コンサルティング会社を経て、跡を継ぐために清美堂真珠に入社。
「真珠とは清らかで美しいものである」という創業者の想いを引き継ぎ、現在も扱う真珠を厳選している。

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