• ジュエリー工房オレフィーチェ/本店

ジュエリーづくりのお仕事記

第一回「ダイヤモンドの買い付け」という仕事
~ムンバイ編~ 

Oreficeではダイヤをインドのムンバイから直接買い付けています。
ムンバイはジュエリーに使われるダイヤモンドの世界的な集積地で、
ヨーロッパ、アメリカ、ロシア、中国、中東など世界中から専門バイヤーが集まってきます。
ムンバイはインド随一の商業都市ですが、ダイヤモンドは広いムンバイの中のごく限られたエリアのなかで、限られた業者間だけで行われています。
ダイヤモンドの業者は大きく二つに分けられ、大きい自社工場を持つ「研磨業者」と流通品を買い集める「ブローカー」ですが、
Oreficeでは主に大手の研磨業者、それもダイヤモンド・カルテル組織、デビアスから直接原石を購入する権利を持つ「サイト・ホールダー」から仕入れます。
ブローカーの持つ流通品は研磨業者が特定できないためカットがバラバラですが、
大手の研磨業者の多くは大規模に機械化されていますのでカットが安定していますので、
パヴェやラインにダイヤを並べると輝きがそろうのでキレイなのです。

さて実際に仕入れてみましょう。
だいたい初日は様子見です。取引業者間を回って世間話をしながらムンバイでの相場を確認します。
その時その時で値段が強いサイズやだぶついているサイズなどが違うからです。
おおよその相場を確認して2日目以降に実際の仕入れです。
手順は
1:ロットの選択、値段確認
2:サイズの確認
3:セレクション
4:値段交渉


それではヌードペンダント用の0.1ct Gカラー SIクラスの仕入れでご紹介します
今回のところはダイヤ業界でも有数の大手さんです
まずはロットを選んで0.10ct~0.12ctの重さのダイヤを選り分けてもらいました
次は「色」で基準外をはじきます。これを「リジェクション」といいます。
重さは機械が表示しますからインド人スタッフに任せでも問題ないですが
色とキズは自分で選択します。相手任せにするとクラスが下がってしまいます。
色を分け終わった後です。右と左のダイヤの山で色が違うのがわかりますか?
真ん中にあるのが「当て石」でこれより色がいいものを選ぶとGカラー以上です
「色」はダイヤの品質でとても重要です
ですが、一番ごまかせる要素でもあります
プロでもこうやって当て石を使わないと正確に色を判断できません

因みにこのオフィスのカーテンはわざと「クリーム色」にしてあるのですが理由がわかりますか?
そうです。バイヤーにあまい色の判断を鈍らせ、びみょうにカラーのあまいダイヤを間違えて仕入れさせるためです
わたしが分けたびみょうに黄色い石はわたしが買うGカラーより1割以上安いんです
インド人はわかっていてわざと同じロットに混ぜておき、バイヤーのミスを期待します。


色分けの次はピンセットとルーペを使って「キズ」などの欠点を確認し、「SI」クラスをセレクションします。
ダイヤも人間と同じでどんなダイヤも同じものはありません
どんなダイヤもその石固有の個性があり、
人間と同じく完璧なダイヤはありません。かならず欠点があります。
その欠点が多いとクラスが下がり、少ないと希少になります


このようにセレクトしていった結果、今回選んだのは3割強でした


最後に値段交渉です。
インド人はユダヤ人中国人にも勝るとも劣らない商売上手ですから、値段交渉には様々な手を使います。
一般に日本人はインド人を正直だと思っている人が多いのですが、インド人はウソを罪だと思っていません。
日本人の感覚ではサギだと思うような手も平気で使います。 慣れない人だとケンカ腰になる人がいますが、それでは相手の思うツボです。
どんな状況でも冷静に損得を勘定しないとインド人と渡り合うことはできません。


インドでは日本と違い、基本的にはダイヤモンドはまとめて買うものです。 1ロット、500万円~2億円くらいをまとめて買うんです。
日本では極端な場合、1個でも取引しますが、インドではほぼありません。
というのも大きい商売になればなるほど
まとめればまとめるほどスケールのメリットが出るのがインドのビジネスだからです。
日本みたいに、1個でも100個でも値段が変わらない、ということはあり得ません。
100個買うから1個の時より有利なんです。
日本人は「同じ」であることを公平と感じるようですが、インドでは違います。
多く買う人に有利なのが「公平」なんです。(日本以外というべきでしょうが)。
だから「公平」を表現する際には「適切な」という意味で「フェアー」という単語を使います。
「同じ」とは言いません。

こんな商習慣の違いがあるため、日本のメーカーでインドまで行く人はほとんどいません。
日本のダイヤモンドは専門の商社がムンバイで仕入れているものが流通しています。
もしくは中古ジュエリーから外した二次流通品です。


ダイヤモンドを仕入れて日本で販売する業者は品質を限定しません。
複数のお客様企業が使ういろいろな品質のダイヤを仕入れますが、
だからこそ、品質やカットがバラバラであたりまえですし、品質やカットは安定しません。
マージンを抜くために値段優先ですから、安ければカットが甘いダイヤでも仕入れて販売します。
ですがカットや品質が統一されていないダイヤでは製品の仕上がりが見劣りがしてしまいます。
Oreficeが中間業者を通してダイヤモンドを仕入れない理由は、値段だけでなくこの点にあります。
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